マルチフレーム超解像処理のアルゴリズムマルチフレーム超解像では、同じ対象を撮影した複数枚の画像から情報を再構成する。2枚(フレーム)の低解像度画像が右方向に0.125ピクセル、下方向に0.1875ピクセルずれてい るものとする。4倍の高解像度画像では、右方向に0.5ピクセル、下方向に0.75ピクセルずれて いることになる。 1フレーム目の画像の1ピクセルの輝度値と対応する4×4の正方形の部分の平均輝度値は等 しい。4倍解像度画像でサブピクセル精度の位置合わせをすることによって、2フレーム目の 同じピクセルに対応する部分が下図の右側に太線で示した正方形に対応することを得る。その 部分の平均輝度値は、対応する低解像度画像の1ピクセルに等しいという前提を得る。 この情報によって高解像度画像の各ピクセルの輝度値を補正する。この補正を繰り返すことに よって、低解像度の画像には無い情報を高解像度画像の上で復元することができる。 この説明から分かるように、マルチフレーム超解像のベースとなっているのは、2枚の画像の 位置合わせ技術ということができる。 当社では、製品ラベルの欠陥検査システムの構築で用いた良品画像と検査対象の画像とのサブ ピクセル精度での位置合わせ技術を用いてマル チフレーム超解像プログラムを開発している。 アルゴリズムから分かるように、マルチフレーム超解像には以下の制約がある。
当社では、対象物が動いていている場合にも適用可能な超解像処理手法を研究開発している。 アナログ放送をハイビジョンに、ハイビジョンを4k2kビジョンにするなどの用途を考えている。 ハイビジョンや4k2kのコンテンツを作るだけで膨大が費用がかかるが、ソフト的に低解像の動 画資産の高解像度化が実現できれば、高解像度コンテンツを作るためのコストの大幅削減が可 能となる。 参考:4k2k対応カメラは、2007年時点で40万円/1日のレンタル料がかかる。 (2)の制約から、カメラが三脚で固定されたケースなどでは、複数枚の画像にずれが無くマルチ フレーム超解像処理を使うことができないことがわかる。 携帯で動画撮影するように、ある程度の手振れがあったほうがかえって都合が良い。天体観測な どでは、地球の自転に応じて対象画像がずれていくので、固定されたカメラで撮影したものでも 超解像画像を得ることができる。 ステレオカメラのように、複数のカメラで同時に撮影するシステムを使った研究もある。 |
動画の超解像の例当社で携帯画像に応用した例 |